拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第13回の講義では、前回に続き「技術」に焦点を当て、拙著、『企画力 − 人間と組織を動かす力』(ダイヤモンド社:PHP文庫)において述べたテーマを取り上げよう。

 今回のテーマは、「企画は『予言』が勝負。これから何が起こるのかを語れ」。このテーマについて語ろう。

どんなビジョンが見えているか

 前回、第12回の講義においては、「企画書は、表紙で『企み』を語れ」と述べた。

 なぜなら、表紙のタイトルで「企み」を語り、読み手に対する「掴み」ができたとき、初めて、読み手は、興味を持って企画書の表紙をめくってくれるからである。

 では、表紙をめくった最初のページで、何を語るべきか?

これから何が起こるのか、その「予言」を語るべきである。

 言葉を換えれば、「ビジョン」。 それを語るべきである。

 では、そもそも、「ビジョン」とは何か。

 この言葉は、世の中に溢れているが、実は、この言葉を正しく使っている例は、かならずしも多くはない。

「ビジョン」とは、英語で「視覚」という意味。すなわち、「何が見えるか」という意味である。そして、この言葉が、「将来に何が見えるか」という意味で使われるようになり、日本では「未来像」という訳語が使われるようになった。

 しかし、この「未来像」という訳語は、あまり変化のない「静的なイメージ」が強く、かならずしも良い訳語ではない。むしろ、変化や変革、革新や革命が常態となるこれからの時代において、この「ビジョン」という言葉を使うときには、「動的なイメージ」を込めて、次の意味で使うべきであろう。

 「これから、何が起こるのか」

 企画書では、その意味における「ビジョン」を語るべきである。

 すなわち、企画書の最初のページでは、社会や市場や企業において、これから何が起こるのか、その「予言」を明確に語るべきである。

 それはなぜか。