今こそ、小ざさに学ぶべきもの
我々は商売において、マーケティングやビジネスモデルを優先しがちだが、実際のビジネスとは、マーケティングだけでは成り立たない。
マーケティングを極めようと思えば、やはり、コンテンツ主義に帰結すべきなのではないだろうか。
特に今年は映画界でそれが証明されている。
前評判のあまり芳しくなかった庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』は、圧倒的なコンテンツ力で、SNSやオウンドメディアを中心に拡散されて大ヒットした。
その勢いが衰えない時期に公開された新海誠監督の『君の名は。』は、興行収入が200億円を突破した。これも元々は東宝にとってのエースではなかったので、封切り直後は、上映館数も多くはなかった。
けれども、コンテンツの力によって、口コミで上映館数が広がり、大ヒットとなった。
SNSやオウンドメディアが強い、つまりは、個々人の消費者が大きな発言権を持つようになった現代こそ、我々は、吉祥寺「小ざさ」に多くを学ぶべきなのかもしれない。
逆説的に言うと、我々、サービスや商品の提供者は、コンテンツの制作・製造に集中し、良いコンテンツさせ生み出せば、消費者がヒットさせてくれるという、創る人優位の時代に突入したと言えるかもしれない。
もし、ビジネスで何かに迷ったら、始発で吉祥寺に出かけて、ダイヤ街の行列に並んでみるのもいいだろう。
40年以上途絶えたことのない行列に並ぶとき、そして、幻の羊羹を口にしたとき、きっとあなたはマーケティングの本質を理解することだろう。
僕も天狼院書店の経営者として、そして、実際に本をつくる人間として、改めて、コンテンツ主義を実践して行こうと考えている。
ビジネスモデルは、結果論にすぎない。学術のためではなく、実際にビジネスをするのなら、コンテンツ主義こそが、最良のマーケティングだろうと思うのだ。
(終わり)