世界に冠たる「小ざさモデル」
あのティファニーの1平方メートルあたりの売上を、アップルストアが抜いたという記事を見たことがあるが、試しに、1坪3億円売り上げる小ざさと比べるとどうなるだろうと計算したことがあった。
それで出てきた数値が驚異的だった。
ティファニーを凌いだアップルストア。吉祥寺「小ざさ」は、なんと、1平方メートルあたり、そのアップルストアの実に20倍ほど売り上げていることがわかった。
もしかして、吉祥寺「小ざさ」こそが、世界最強のビジネスなのかもしれないと僕は考えた。
しかし、どうも、数値が合わないのだ。
「幻の羊羹」は、1本600円ほどでしかなく、1日限定150本である。
と、すれば、1日に羊羹の売上は9万円程度、月に270万円、年間でも3200万円ほどでしかない。3億円には到底至らないのである。年商の1割程度でしかない。
吉祥寺「小ざさ」の商品は、幻の「羊羹」と「もなか」の2品しかない。
そうだとすれば、簡単な引き算で、「もなか」が売上の9割を占めていることになる。実に、「もなか」で年商2億7000万円以上である。
「マーケティング」的にみれば、吉祥寺「小ざさ」のモデルは、こういうことになるのではないだろうか。
幻の羊羹は、「ブランディング」のための商材である。
現に幻の羊羹は、そのずっしりとした重みからその形から、金の延べ棒のように感じられ、到底600円の商品とは思えない。その「幻」という概念が、本来の価値以上のものをもたらしている。それは、羊羹のブランディングが成功した現れと見ることもできる。
そして、その「ブランディング」の成功で上昇したブランド価値を利用して、大量生産している「もなか」を売っていると見れなくもない。
いち早くネット販売も取り入れて、1坪という物理的な制限を突破しているし、店舗自体は1坪と小さいながらも、別な場所で、製造工場が存在している。