ストレスチェック制度施行初年度が終わった。制度施行2年目となる今年は1年目の経験をふまえて、職場のメンタル強化に向けて、より実効の上がる運用を検討するべきだろう。その際のポイントを考えてみよう。
働きやすい職場つくり」によって
ストレス軽減を図る
昨年11月29日配信の当連載記事「ストレスチェックは意味があったのか?」で、私はストレスチェック初年度を以下のように総括した。
・総じて受検率は良好だった。
・集団分析には消極的な企業が多かった。
・高ストレス者による面接指導の申し出率は低かった。
タイトルの「意味があったのか?」に対する答えは、「意味はある。ただし、調査項目や運用については改善の余地が大きい」、かつ「ストレスチェックが“うつ病予備軍のあぶり出し”で終わってしまっては真の問題解決にはなりえない。生産性向上という問題解決に役立てるべき」ということになるだろう。
国の大方針である「働き方改革」は、もっぱら長時間労働の是正にベクトルが向き始めているが、職場のストレス軽減は「働きやすい職場つくり」によって解決するべきだろう。日本人の平均労働時間はこの20年で大幅に減り、OECD平均を下回るまでになっている。それにもかかわらずメンタルヘルス不全に陥る労働者が増えている、という現実がある。
健康を害するほどの長時間労働がない場合に、労働時間を短縮したり業務量を減らしたりすればメンタルヘルス不調者が減る、といった簡単な話ではないのだ。
「働き方改革」は、マネジメントの努力によって働きやすい職場をつくることで実現してほしい。
ストレスチェック制度は、働きやすい職場をつくるという目的に、一定の貢献をするだろう。働きやすい職場をつくるために、まずは実態把握が必要だからだ。
制度施行1年目の実績をふまえて、2年目以降は運用を工夫し、さらに職場への結果フィードバックをどのように果たすかが問われることになる。