3月11日午後2時46分。私は九段下(千代田区)のカフェでメディアの担当者と打ちあわせ中に、突然その時を迎えました。

 大きな揺れを感じて、1Fにあったカフェから外に飛び出すと、地面が激しく上下して、すぐ隣の高層のオフィスビルが大きく左右に振れているのを見て、これがこれまで体験したどの地震とも全くレベルの違うものだということが直感でわかりました。

ツイッター上で
「不謹慎!」と非難の嵐

 2週間後の現在――。大地震にともなう計画停電で、東京の繁華街のネオンが消され、帰宅への不安から人通りも減少し、不規則な停電スケジュールにより営業を休止する店舗が続出しました。さまざまなイベントやコンサートなどは節電を理由に次々中止が決まり、加えて多くの各種学校の卒業式や入学式も行われないことになりました。また、企業の宣伝広告・販促活動は「自粛」という名目で相次いで中止、延期となり、テレビCMは全てACジャパン(公共広告機構)に差し替えられました。

 メディアによる連日の被災地の過酷な現実と放射汚染の不安を煽る報道、余震にくわえて日本各地で頻発する新たな地震で消費マインドは大きく低下しています。一方、東日本で起こっている尋常ではない品不足・買い占めによる混乱。この異常事態の中では、通常期の購買行動とは違い明らかに生活必需品の需要が圧倒的に増し、嗜好品の優先度が下がって、趣味やファッション、グルメにお金を使おうという気持ちが著しく萎えています。必要以上の節電の必要もなく、地震で直接の被害を受けていない西日本でも消費は大きく落ち込んでしまっています。

 それに拍車をかけているのが社会全体を覆っている過剰なまでの自粛と、不謹慎のムードです。さらにそのムードを助長しているのが、この地震で災害時の有効な情報インフラとして改めて注目されたツイッターなどのソーシャルメディアです。