本連載では、「クラウド会計」をテーマに、中小企業の経営効率化やバックオフィスと捉えられがちな経理の仕事を攻めの現場に転換するヒントを模索してきた。今回はクラウド会計ソフトを含むITサービス導入に役立つ「補助金」を取り上げる。行政書士法人GOALの石下貴大代表の寄稿による、実利に直結する番外編をお送りする。
近年、「働き方改革」という言葉をよく耳にするようになりました。中小企業の共通の課題として、労働人口の減少や高齢化による人手不足、残業問題など、生産性の向上が注目されていますが、その解決策の1つとして、ITの活用があります。
IT活用のためにはシステムの導入が不可欠ですが、そもそも何を導入すればいいのか分からないといった悩みから、初期投資や運用費用など予算の面でも躊躇している経営者が多いのではないでしょうか。
そこに朗報です。経済産業省と中小企業庁が平成28年度の予算で進めている「サービス等生産性向上IT導入支援事業」の一環で、「IT導入補助金」というものがあります。中小企業や小規模事業者がITツールを導入する経費の一部を補助することで、生産性の向上を図ることを目的とした補助金です。
補助の内容は、ソフトウエア、サービス等の導入費に含まれる経費の3分の2まで、上限額100万円、下限額20万円のお金が、「返済不要の補助金」として、導入する事業者に支払われるというものです。
補助金額は、かかった費用の総額に応じて高くなります。たとえばITツールの導入に150万円かかるとすれば、100万円の補助が受けられるので、実質は50万円の負担になります。また、補助の下限額は20万円ですから、最低30万円以上の導入費用が必要です。
対象の経費は、パッケージソフトの本体費用、クラウドサービスの導入・初期費用、クラウドサービスにおける契約書記載の運用開始日(導入日)から1年分までのサービス利用料・ライセンスアカウント料、ITツール(ソフトウエア、サービス等)の導入に伴う教育、操作指導に関する費用、コンサルテーション費用などとされています。
当連載で扱っている、クラウド会計ソフトやクラウド勤怠管理ソフトの導入サポート付きのパッケージ、社内コミュニケーションツールのパッケージなどが低コストで導入できます。これまで、「興味があったけどなんか難しそう」とか、「セットで買うとコストがかかりすぎて導入できなかった」という事業者には非常に有効な補助金でしょう。