しかも“ぼったくり免税店”で買い物をさせるために、「わざと他の店で買い物する時間を与えないツアーもある」(Sさん)という。

「初めて訪日する中国人客を、同胞の中国人が騙す」という新手の商法は、中国人の間で瞬時に広がり、有象無象がここに参入した。こうして日本のインバウンド市場で“闇ガイド”に“ぼったくり免税店”“悪徳飲食店”――が跋扈し始めたのである。

 2015年は「爆買い」現象のピークが見られた年だが、このとき3.4兆円の旅行消費が日本にもたらされた。しかし、「小売業界で潤ったのはごく一部だ」と言われている。それが百貨店であり、家電量販店であり、免税店だった。

 免税店の中には当然“ぼったくり免税店”も含まれている。こうした悪徳免税店とタッグを組んだ闇ガイドの中には、コミッションだけで月1500万円も手にした者もいる。

有資格者の「熱意」をよそに
闇ガイドはボロ儲け

“闇ガイド”率いる一団とすれ違う。資格証もないどころか、ガイドはスマホにのめり込み、客の安全には無関心

 東京の街中でも“闇ガイド”をよく目にすることがある。当然、彼らは正規の旅行会社が準備した「旗」を持たない。その代わりに、季節外れの鯉のぼりやマスコット人形を旗代わりにして歩く。その姿はブレザーの着用もなく、あるべきはずの「通訳案内士資格者証」も胸に掲げられていない。

 2016年時点で、日本には通訳案内士として登録する有資格者は2万人超いると言われている。そのうち9割超を占めるのが英語の通訳案内士であり、中国語の通訳案内士の数は2016年で2380人に過ぎない。

 一方、2016年には中国から日本に637万人の訪日客が訪れた。そのうち個人旅行者が65%を占めるが、団体旅行者も依然35%を占める。同年には222万人が団体旅行で訪れた計算だ。

 仮に、一団体を40人で計算しても5万組が団体旅行で訪日したことになる。2380人の有資格者だけではどう考えても足りない。つまり、不足する通訳案内士を“闇ガイドの暗躍”で埋めているという構図だ。