「英語圏に日本の寄付情報を発信するウェブサイトを」
ITエンジニアと開発援助のプロフェッショナルが連携
「我々にできることはないか」
馬渕はそうつぶやき、日本の寄付情報の問題を解決しようと、在籍中の大学院のチームとともに動き出した。英語圏に向けて、緊急支援に奔走するNPO/NGOの「情報発信を支援する」ための活動だ。震災の翌日から馬渕たちは動き出し、震災に関する寄付情報を取りまとめ、英語圏に情報発信するサイト、“donate-japan.com”をスタートさせる。
日本側では村野智浩がウェブサイトを立ち上げ、馬渕がアメリカから日本のNPOやNGOの寄付情報を分析した。村野はITエンジニアとして活躍している男だ。「小学校からの付き合いだ」と二人は笑いながら話すが、震災がなければ一緒に仕事をすることもなかっただろう、とも話してくれた。
多くのポータルサイトが寄付を募るページを立ち上げたが、「リンク集にしかなっていない」のが実情だった。訪問しないと中身がわからない。一覧性のあるものがない。信頼できる活動がフィルタリングされていない。「ウェブの特性を活かしていないじゃないか」と村野は言う。
じゃあ、自分でやろう、と思い立った村野の頭に浮かんだのが、馬渕の存在だった。開発援助に詳しい馬渕に聞けば、NGOやNPOのことはわかるじゃないか、彼のアイデアを盛り込んだウェブサイトを作ることができれば面白いんじゃないか、と。震災の翌朝、村野と馬渕はスカイプで会話を始めた。アメリカでも、日本の情報が不足しているとの声が上がっているという。累計数百億の寄付が寄せられたにも関わらず、情報の発信は貧弱なままだった。