問われる寄付の効率性
寄付は何のために使われるのか

 このプロジェクトを可能にしたのは、「小学校からの付き合い」という彼らの関係性だった。開発援助とITの世界は顧客も異なり、競争のメカニズム違うことから、さほど領域の近い世界ではなく、とくに国内では質の良い協働の事例を目にすることは少ない。村野だけでは、情報の評価ができず、馬渕だけではウェブサイトを通じた情報のとりまとめができなかった。

 異なる背景を持つプロフェッショナルが震災を機に同じ目的を持って活動したから、このプロジェクトは生まれたのだ。

 彼らの活動は情報に「評価」を加えた点でユニークだった。馬渕を始めとする開発援助のプロフェッショナルや公衆衛生の分野のトップスクール、ジョンズ・ホプキンス大学の学生、研究者たちが協力しあい、寄付の用途や団体の適格性に対し、次の5つの評価が加えられた。

1.    寄付が何に使われるのか
2.    寄付の何割が直接、支援活動に使われるのか
3.    中長期的な活動は行うのか
4.    大規模な寄付を運用する能力や実績があるのか
5.    寄付が目標額を超えた場合に何に使われるのか

   評価の結果、情報公開を促進している一部のNPO/NGOと、そうでない団体の差が際立っていた。いくつかのNPO/NGOは適切な情報公開を行っていることが評価され、ウェブ上でも注目を集めた。だが、問い合わせをすれば、きちんとした受け答えをしてくれる団体が多かったものの、情報を整理・公開することへの関心、スキルが低く、すべての情報をもれなく、かつ的確に公開している機関は少なかった。