変革を遂げつつある
「寄付プラットフォーム」

 また、復興ステージの支援においては「息の長い」支援が求められる。多くの寄付が被災の直後に寄せられるが、それだけでは復興の財源はまかないきれない。意思決定に時間のかかる行政よりも、きめ細かな活動に特化し、迅速に草の根の問題解決も必要だ。そのための新たな活動モデルや資金提供はいっそう求められている。

 一考に値するのは、09年にアメリカで立ち上がった“Kickstarter”というクラウド型のファンドレイジングサイトだ。厳密に言えば寄付だけを募るサイトではないが、インターネットを通じた寄付のあり方を変える存在として注目を集めている。

 Kickstarterでは、誰でも自由にプロジェクトを立ち上げ、その実行のために必要な資金を募ることができる。現在、アートから社会貢献に至る幅広いプロジェクトで寄付が募られており、2010年だけで合計3,910のプロジェクトが寄付目標を達成し、合計20億円を超える資金がプロジェクトに流れた。

 Kickstarterのユニークな点は、資金提供者と資金を使う当事者を「ダイレクト」につないだことだ。これまでの寄付がメディアの露出度や知名度に比例して集まるのに対し、このファンドレイジング・プラットフォームでは、ユニークなプロジェクトに資金が集まっていった。つまり、プロジェクトの中身がしっかりと評価され、その評価に応じて寄付が集まるという仕組みが構築されているのだ。

 たとえば、自分のサイト専用のFacebookをつくるためのソフトウェア開発プロジェクトには数千万円の金額が集まったし、iPod nanoを腕時計に変えるというクリエイティブ・プロジェクトには、1億円弱の金額が集まった。