預かり資産残高で国内3位のSMBC日興証券が、攻めの姿勢に打って出ている。昨年4月に新社長となった清水喜彦氏は、三大証券唯一の銀行グループの強みを生かし、2位の大和証券グループの背中に急接近中だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)

しみず・よしひこ/1955年山梨県生まれ。78年早稲田大学商学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行。常務執行役員法人企業統括部長、副頭取など経て、2016年4月より現職。 Photo by Masato Kato

──2016年4月の社長就任時の「リテール(個人向け)の営業人員を大幅に増やす」(15年9月末の2000人超から、最新計画で19年4月に約3900人まで拡大予定)との方針に外から批判の声もあったそうですね。

 批判は間違いだと思っている。僕は営業からのたたき上げですが、当社のシェアは、十数パーセントしかありません。それなら、他からパイを頂ければいいだけの話です。野村グループはうちの倍はあります。現在の五大証券のうち、野村グループが100だとすれば、われわれは50ぐらいの規模にすぎません。他3社も大差ないでしょう。だから、まだまだ成長できるパイはいくらでもあると考えています。

 SMBC日興証券の強みはまず、(山一證券が廃業前の)過去の四大証券同様、以前からリテールをやっていたことです。もともとリテール証券だったときのお客をまだ全部は掘り起こせていません。

 さらに、うちはSMBC(三井住友銀行)のお客もいて、同じグループ内には銀行の部分も持っている。今の三大証券で唯一、両サイド(証券と銀行)に足を掛けているなら、これを強みにしないのはおかしいですよね。

 当社の1人当たり生産性は野村や大和証券グループより上です。一部それに胸を張る人もいましたが、1人当たりの生産性ではなく、掛け算で上がった収益ボリューム、これこそが問題なんですよ。なぜ全体では負けているのか? 数が足りないからです。それならば、人数を増やさなければ意味がないでしょう。