また2016年10月には、KDDIと提携し、「KDDI IoTコネクト・エアー」を開始した。これはKDDIの回線を利用するIoTに特化した安価な通信サービスである。KDDI自身のIoT通信は大手企業がメインターゲットであり、大手がIoTの実験をするのにソラコムのシステムは最適と考え、提携したと見られている(注1)

 この提携は、大手通信会社がソラコムの技術を認めたということであり、ソラコムの存在は一段と大きくなった。また本業で競合するNTTドコモとKDDIの両社と組むという意味で、画期的な出来事であった。

すでに5000以上のユーザーが利用
競合は今のところ存在しない

 現時点で5000以上のユーザーがソラコムを利用しており、公表されている企業としては、コニカミノルタ、日本交通、キヤノン、東急ハンズなどが挙げられている。規模を問わず、ベンチャー企業から大企業まで、様々な業界で使われている。また前述のように、IoTの実証実験には最適であり、センサー、デバイスの数が多く、1日の通信量が少ない分野なども有望視されている。

 2016年5~6月には、約30億円の資金調達を行ない、開発拠点の多元化を進めた。シンガポールのほか、欧米に1ヵ所ずつ、計3ヵ所に現地法人を設立した。海外展開に関しては、グローバル用のSIMを提供し、現地の通信キャリアから回線を借りて、1枚のSIMで120を超える国と地域で接続可能である。日本と同じビジネスモデルによる展開である。

 競合に関して、同じビジネスモデルの企業は、今のところ存在していない。AWSというクラウド・ネイティブにバーチャルな通信システムを構築するソラコムの技術は真似しにくく、同じビジネスモデルのベンチャー企業の追随はかなり難しい。

 似たような仕組みをB to C向けに始めたのは日本通信であったが、彼らはB to Cゆえに、コールセンターなどを持たざるを得ず、そのため1日10円のコスト構造にはなっていない(かつてデル・コンピュータが日本に進出したとき、法人需要にフォーカスしたのも、B to Cだと必須となるコールセンターなどの費用を最小にしたかったから、と言われている)。