成田空港の非航空系収入が航空系収入を超えた。これは成田国際空港株式会社(以下、成田空港)が、出国手続きを終え、搭乗前のお金と時間がある乗客をターゲットに、リテール事業を展開してきた結果である。今回はそのビジネスモデルの強さに迫ってみよう。
実は航空系収入よりも
非航空系収入が多い成田空港
成田空港は1966年に新東京国際空港公団として設立され、2004年に民営化された。民営化後、国際的にも国内的にも競争が激しくなってきた。国際的には、仁川(韓国)、浦東(中国)、チャンギ(シンガポール)、香港などが、アジアのハブ空港の座をめぐって、安い着陸料を武器に熾烈な競争を繰り広げてきた。ちなみに、仁川、浦東などは成田空港の半額程度の着陸料としており、競合の多くは年間旅客数1億人ほどを計画している(成田の現状は年間4000万人弱)。
一方国内的には、羽田空港の国際線化が加速している。2010年に、D滑走路と新国際線旅客ターミナルが供用開始となり、新発着枠7万回のうち、6万回が国際線に割り当てられた。さらに2014年には、国際線ターミナルが拡張され、飛行先が格段に増えた。関西空港や中部空港も、国際線を拡充している。
環境変化の中で
伸び悩む航空系収入
空港の収入は、航空系収入と非航空系収入に分けられる。前者は、航空会社からの着陸料、停留料、旅客からの旅客サービス施設使用料、石油会社などからの給油施設使用料から成る。民営化直後、成田空港の収入の7割弱は航空系収入であった。しかし航空系収入は簡単には伸びない。それには次のような理由が挙げられる。
第一に、旅客機の軽量化と中・小型化である。成田空港の着陸料は、現在は飛行機の騒音と重量で決まっているが、2004年以前は飛行機の重量で決まっていたため、1980年頃のジャンボジェット全盛期は、着陸料も増加していた。しかし燃費向上のため旅客機が軽量化され、また効率を重視した運航により、大型機よりも中・小型機の運航回数が増え、平均単価は低下傾向にある。