欧州経済の混乱が深まってきたが、ECBは、FRBに比べ対応が遅いという批判が、欧米のマスメディアからよく発せられている。

 ユーロの銀行間翌日物金利はECBの政策金利(現在2%)を大幅に下回る1.2%台で推移している。政策金利が1%に引き下げられたら、翌日物金利はゼロ%に近づくだろう。貸し出しの担保基準も拡大されている。
 
 言われるほどECBの対応は遅くないが、FRBに比べれば地味なのは事実だ。

 トリシェECB総裁は、2月16日の欧州議会で、以下のような反論を行なっている。米国のマクロ経済運営を彼は批判した。

 “われわれは、将来似た混乱が生じないような決定を行なう必要がある。「いくつかの国」のマクロ経済政策は、中期的な安定と維持可能性に十分に焦点を当ててこなかった。それはマクロ経済の不均衡を累積させた。「いくつかの国」が世界の残りの他の国からおカネを借り続けることは最適であるという誤った信念が見られた。

 グローバル経済を、以前経験した不均衡な状態に戻さないことは重要だ。これが現在の問題に対する出発点である。

 政策決定者にとって、ただ単に短期的な解決を図るのではなく、長期的な観点を持つことが、最大の重要な点である。それゆえ賢い政策アクションは次の2つの要因を含むことになる。