「IoT革命」はいま、どんな局面にあるのか?Photo:DOL

――IoTで先進的な動きが見られる企業や産業分野はどこでしょうか。

 オープン化まではいかなくても、IoTの認知は着実に広がっているし、企業においても製品化に反映させようという機運が高まりつつあります。最もスピード感があるのはベンチャー企業ですが、彼らに影響を受けた大企業も変わりつつある。

 日本を代表する巨大産業とその周辺が、IoTへの取り組みを始めたことは重要です。たとえば自動車業界では、今やトヨタ、日産、ホンダをはじめ、自動運転に取り組んでいない会社はありませんが、彼らが動けば関連子会社や取引先もみな動きます。ルネサスエレクトロニクスも、自動運転車用チップの開発に乗り出し話題を呼びましたが、波及効果が大きいのはやはり自動車業界だと思います。

 セキュリティも注目分野です。地震などの天変地異リスクの高まりや少子高齢化の進展に伴い、高齢者・子どもの「見守り」にIoTを活用するケースは増えるでしょう。小売業界では、スーパーやアパレルショップでの洋服の在庫管理でニーズが高まる。欧州では、今や服に電子タグを付けるのは当たり前になっており、最近、日本でもそうした動きが出ています。農業では、IoTを導入して作物の育成状況を管理し、収穫率を高める試みが始まっています。

 さらに、今私が考えているのは、2020年の東京五輪を見据え、主に外国人観光客に向けた都市サービスの高度化をIoTで実現できないかということです。たとえば、既存の非接触型ICカードをクラウドと連携させることにより、公共の情報端末にICカードをかざすだけで、その人の嗜好、使用言語、身体属性に応じて、目的地まで最適な道案内を行う、ホテルやレストランで最適なサービスを提供する、ということが可能になります。こうしたプラットホームを産官学民が協力して実現することで、日本のインフラ力は高まります。

「IoT+AI」で企業の
ビジネスチャンスは広がる

――足もとでは、IoTで集めたデータをAIでどう活用すべきかという課題も議論されているようです。具体的にはどういうことでしょうか。

 IoTが進めば進むほど、企業にはありとあらゆるデータが集まってきます。そうしたデータはビジネスにとってすごく有用です。たとえば電機メーカーが、温度計を内蔵したテレビを販売するとしたら、そのテレビを何万台売ったとき、一定期間内に温度の上昇で壊れる確率は何%かというデータをとり、分析することができます。そうするとメーカーは、売ったテレビが壊れる前にそのリスクを予知し、ユーザーへ修理の確認を連絡することができます。

 こうした手厚いサポートはユーザーにとって、メーカーへの信頼に繋がり、製品を購入する動機になる。補修部品在庫の最適化による間接コストの圧縮や、壊れにくい設計にも生かせるでしょう。