中国共産党指導部にとって
米国との関係とは

 前回コラムでは、李克強首相の欧州歴訪をケーススタディーに、中国共産党指導部が、激動の時代を迎えているかに見える国際政治経済情勢において、欧州が米国とは異なるプレイヤーとして君臨するのを望んでいること、トランプ政権の米国が“内向き”姿勢を見せる中、中国が新たな一角として世界的リーダーシップを果たしたいと考え動いていること、その過程で共産党一党支配体制を確固たるものにしたいと考えていることなどをレビューした。

 掲載後、複数の読者から「中国にとって対米関係はどうなっていくのか?」、「トランプ大統領の言動が読めないというリスクへのヘッジとしての欧州接近なのか?」、「中国は対外協力の軸を米国から欧州へ切り替えようとしているのか?」といった類の問題提起をいただいた。いずれも、中国の対外関係を考える上でのリアリティーとして直視すべき、あるいは想像力を膨らまして思考すべきテーマであると感じた。

 まず、私の現段階における観察に基づく結論から述べる。

 《中国共産党指導部にとって米国との関係は、依然として対外関係のなかで核心的であり、最も切実に、象徴的な領域も実質的な分野も含めて安定させたいと考える2ヵ国間関係であり、依然としてその安定化を通じて、自国民および国際社会に対して共産党一党支配下における統治力と権威性を示していきたいと党指導部に考えさせる戦略的関係である。》

 2点付け加えたい。一つ目は、共産党指導部が、米国という中国にとって最も重要でかつライバルとしての関係を形成する大国との関係を安定させられない状況を、「人民からの信頼を失墜させる事態」と捉えていることだ。対米関係が共産党の正統性という文脈における、内政的性格を擁しているということである。