賃貸住宅最大手である大東建託の営業力に“ほころび”が見え始めている――。『週刊ダイヤモンド』6月24日号「不動産投資の甘い罠」でそう指摘したところ、編集部に同社の現役社員、元社員から続々と切なる声が寄せられている。さながら駆け込み寺状態だ。彼らに共通する思いは「良い会社に生まれ変わってほしい」という一点だ――。今回は、大東建託社員の悲痛な叫び、第5弾をお届けする。

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契約通りに建たずとも
諸経費は顧客が持つ

大東建託現役社員が指摘する「粗っぽい契約」の中身

「営業マンにとって数字が大事なのは分かりますが、当社はちょっと度が過ぎており、高齢の両親との話だけで強引に手続きを進めた後に、子どもたちから『聞いてない』とクレームが入って途中解約されるなど“粗っぽい契約”が多いのが現状です。また、たいした額でもないのに、相続税対策を過度にあおる風潮も途中解約に拍車をかけています」

 本連載第4弾に登場してくれた佐々木信介さん(仮名)は、大東建託の営業のあり方についてこう切り出した。その背景には、とにかく契約ありきで、1億円近いローンにもかかわらず保証人になりうる家族や銀行への相談もないまま営業マンが地質調査などの手続きをどんどん進めてしまい、結局は着工直前で融資不調になり、途中解約に至る事態が散見されることにある。

「融資が下りる資産があるかどうかくらい私でもだいたい分かりますし、きちんとお客さま(地主)に預貯金の額まで聞き取りするのが当然です。たとえ立派なご自宅に住んでいても、年金暮らしで貯蓄もほとんどないという方もいます。そうした方に銀行は1億円も貸すはずがありません。おそらく、支店長や課長たちが『バックに大東建託が付いているので融資は下りますよ』とか言っちゃうんです。融資がつかない限り、お客さまも契約しないですから」