「日本版DMO」という言葉をよく聞く。DMO(Destination Management Organization)とは、「地域で連携して、観光で儲けよう」という発想の観光地域づくりのことだ。官民一体で外国人客を呼び寄せようと日本全国で模索が始まっているが、これがなかなか難しい。
というのも、そこには「ライバル意識」という、見えない“壁”があるからだ。以前、このコラムでも、市町村の“境”には、国境ほどに埋めがたい利害関係が存在することを紹介したが、周辺の市町村が境を超えて集まり、企業が加わってみても、なかなか「連携」には至らない。そういう状況において、地方における連携が「生みの苦しみ」に置かれている状況は察するに余りある。
蓋を開けてみれば、「いつものメンツ」だというのも災いしている。九州のある業者は「新たに組織されたはずのDMOの主導権を握るのは、結局いつものメンバーなのです」と明かす。こうした旧態依然とした構造を打破しないことには、DMOも何ら新たなアイディアを生む“母体”とはならない。