人口の高齢化に伴い、看護師や介護士が圧倒的に不足しているにもかかわらず、インドネシアやフィリピンの人たちが日本で働きたいと思っても、日本語能力の問題で就労許可が出ず、長期間働くことができません。これはいずれ問題になってくると思います。彼ら、彼女らの助けなくしては、日本の高齢者に十分なケアを施すことができません。働き盛りの人が介護のために離職したり、休職したりするのは日本特有の現象ですが、これも日本の経済成長にとってはマイナスの影響を与えていると思います。

 それから、若者の内向き志向も問題です。もっと日本人の若者は海外で学んでほしいですね。

佐藤 大学院のみならず、ハーバードカレッジで学ぶ日本人が増えるといいですね。

ハウエル もちろんです。中国や韓国からは多くの若者がハーバード大学に学びに来ているのに、日本人の若者はほとんどいません。しかも、日本人学生は、日本国外で育った人が多いのが特徴的です。

 日本政府には、もっと学部生の海外留学を推奨してほしいですね。留学しても日本の社会でマイナスにならないような教育制度にすることが必要でしょう。また、日本企業には海外大学の卒業生を積極的に採用してほしいです。これらはとても小さなことですが、日本の将来にとって大きな意味を持つことです。

 日本の大学生は、学生時代の多くを「就職活動」に費やしますね。就活シーズンには、学業よりも就職活動を優先する傾向さえあります。その気持ちはわかるのですが、もう少し、気楽に考えられるといいなと思います。

 私はこれまでプリンストン大学とハーバード大学で教員を務めてきましたが、両校の学生は特段、就職活動もしないのに、ほぼ希望通りの職業についている印象があります。そもそも就職活動をしなくては、という切迫感もありませんから、在学中は学業以外にも様々な活動に参加できるのです。

佐藤 なぜアメリカの大学生はそれほど気楽に考えられるのでしょうか。

ハウエル 彼らはとりあえずどこかでちょっと働いてみて、そのあとのことはそのとき考えよう、というスタンスなので、大学卒業時の「就活」については、気楽に考えられるのです。

「大学を卒業したら何をしようかな。NPOで少し働いてもいいし、金融機関に就職してお金を稼いでもいいし、1年ぐらい海外に滞在してもいい。さて何をやろうか。そのあとは、大学院でもいこうかな」という感じなのです。つまり、「21歳や22歳で就職した会社が、自分の人生を決定しない」という考え方で、就職先を選びます。