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IoT最前線
【第4回】 2017年10月10日
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ダイヤモンド・オンライン編集部

ルネサスと大和ハウスはなぜIoTを「効率化」に活用するのか

状況を変えたのは
AIを搭載する新技術だった

 この状況を変えたのが、クラウドとネットワークでつながる末端の電機・電子機器に人工知能(AI)を搭載する「エンベッドAI(e-AI)」という技術だ。データの収集や検証によって状況の改善に役立たせることができるIoTの技術を活用している。

 具体的には、e-AIを搭載した手のひらサイズの箱型装置(モジュール)を半導体製造装置に外付けして使う。半導体製造に使われる化学ガスの濃度や製造経過時間などのデータを製造装置内のセンサーからリアルタイムで読み取り、あらかじめモジュール内に保存された通常時のデータとつきあわせて異常がないかを判断している。

 e-AIはルネサスの工場効率化のポイントになっている。15年の夏までは半導体製造ラインの異常を検知するためのセンサーが取得したデータはすべて、異常・正常にかかわらず工場のサーバクラウド上に集約していた。そして人間がサーバからデータを抜き出してから統計分析し、異常を発見したら工場に連絡(アラート)が行くというプロセスを経ていた。しかもアラートを受けた場合は、工場ではベテランの技術者がアナログの記録紙で異常を確認して判断・精査していた。これはデータ通信量も人手もたくさんかかるアナログな仕事だった。

 これではデータの受け渡しに時間がかかってしまい、異常に対して即座に対応ができなかった。そこで、e-AIを製造装置に外付けすることで、リアルタイムかつ精緻に異常を発見できるようにした。

 異常が見つかればすぐに点検して改善できるようになったので、コスト削減が進んだ。また、異常を見つける頻度が高ければ、製造装置のメンテナンスを早めに行うことで異常の発生率を下げることができるので、安定供給に繋げているという。

 IoTはe-AIで製造工程の無駄を排除することに寄与しているが、活用はこれに留まらない。ルネサスの工場で成功したe-AIによるコスト削減の事例を、今度は他社の工場に向けたソリューションとして販売しているのだ。

 リスクへの対策も万全だ。IoTはネットを使って情報通信を行う仕組みなので、外部からアクセスされてデータを改ざんされたり、ハッキングされたりするようなことがあっては大変だ。当然、セキュリティの視点が欠かせない。

 そこで、ルネサスで製造された半導体そのものに、セキュリティソフトウェアのパートナー会社の技術を導入し、半導体の販売後もセキュリティのソフトウェアを進化させられる仕様にしている。また、半導体そのものに鍵を掛けて、遠隔操作による侵入でプログラムを書き換えられないように守る二重の対策を取っている。

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あらゆるモノがインターネットで繋がるIoT(Internet of Things)。その仕組みを活用できれば、大きなチャンスが生まれるという。多くの企業が期待を寄せ、取り組みを進めるIoTだが、日本におけるIoT化は現在どのような局面にあるのか。チャンスを生かすための課題とは何か。有識者の声や産業界の取組みを紹介しながら、最新トレンドを多角的にリサーチする。

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