ミドル以下の世代では
メディアの影響力にかげりが

 ここでひとつ注意しておきたいのは、政治信条、あるいは政治的イデオロギーがあまりに強い一部の層は、その認知の「バイアス」が激しすぎて、何を見聞きしても認知は変わらないということだ。昔からこうした人たちは一定数おり、今になって特に増えたわけではない。

 重要なのは、こうした人たちに属さないボリューム層だ。私たちの多くはその層に属しており、認知によって判断を変える人々である。筆者は、その「認知形成の仕方」がこの15年ほどで大きく変わってきたと思っている。

 テレビの興隆とともに育ったシニア層は、マスメディアの分析をダイレクトに受け取る。もちろんどのテレビや新聞の分析をどの程度重視するかは、個人によるが、基本的にはメディアの提示した認知=その人の認知、になりやすい。

 この構図は、20年ほど前までは一般的だった。マスメディアが最も力を持ち、世論形成力があった時代だ。人々は、マスメディアの提示する「認知」を共有し、それが世論形成の基となっていた。

 それに対して、ミドル層からそれ以下の若い層は、マスメディアの分析をダイレクトには受け取らず、それを紹介する「ニュースまとめサイト」やネット掲示板、ツイッターなどの情報を参考にすることが多い。そこには、人々の意見、コメントの応酬や炎上等もセットでついてくる。

 そういうネットでの状況は、「さまざまな意見が聞ける良い環境」と言えなくもない。ただ、多くの場合、「状況認知にどんな差があるから意見が異なるのか」を冷静に議論できるような状況は少ない。そういった投げかけをする人は多くいるのだが、上記の「イデオロギーまみれ」の人々が、それらを頭から否定するので、売り言葉に買い言葉で、ただの罵詈雑言の応酬になることの方が多いのだ。