ご存じのように、自筆証書遺言は偽装を防ぐため、全文と日付を必ず本人が書き、署名・捺印することなどが民法で定められています。また、財産の一覧を記した財産目録も自筆する必要がありましたが、資産のすべてを正確に記載するにはかなりの労力を要し、もし誤字があれば、その部分が無効になる可能性もあるため、自筆証書遺言作成する際のひとつの障害となっていました。

 改正案では、不動産の地番や面積、預貯金の口座番号など、財産を特定する記載については自筆でなくてもよく、パソコンなどで作成した財産目録を添付し、その文書に遺言者が署名・捺印すれば有効となるようです。

 法務省がホームページで公開している「参考資料 自筆証書遺言の方式(全文自書)の緩和方策として考えられる例」がわかりやすいので見てみましょう。

 また同様に、法務省ホームページに掲載している中間試案に対するパブリックコメントでは、新しい自筆証書遺言のあり方を検討したプロセスを知ることができて、とても興味深いので、興味のある方はご覧になってください。

 自筆証書遺言の形式が最終的にどのようなかたちとなって、われわれに提示されるのか、いまからとても楽しみです。

 日々、遺言業務に関わる私も、「遺言にも不易流行がある」と肌で感じています。時代に合った、使い勝手のよいものになってくれることを期待しています。