平成25年の税制改正で、相続税が大増税!そして増税もさることながら、相続にからむトラブルが急増中。しかし、実際に相続を体験する前は、どんなことがトラブルになるのかさえ、わかりません。新刊『新版 相続はこうしてやりなさい』から、相続専門の税理士が相続税のイロハを抜粋してご紹介します。今回は、遺族のトラブルを防ぐ「遺言」について。自分で作成できますが、間違いがあれば「無効」になってしまいます。遺言書の基礎知識をご紹介します。

トラブルを回避する一番有効な手段!
「遺言書」は、主に3つの種類がある

「遺言」と言うと、「自分が死んでからのことなんて縁起でもない」とか、「まだ元気なのだから必要ない」と思われる方が多いようです。しかし、万が一、自分に不幸があった時でも、遺された遺族が無駄な相続争いや遺産分割に頭を悩まさないで済むように、遺言を遺しておくことは、とても大切なことです。

 1通の遺言書を作成しておくことで、遺された相続人同士での争いを未然に防いだケースも数多くあります。

 そもそも、昨今、急増中の相続の遺産分割トラブルの大部分が、被相続人の最終意思がはっきりしていなかったために起きています。
遺言で、明確な意思表示をし、紛争の種を残さないことが、遺された家族や相続人に対する思いやりと言えます。

 ひとことで遺言とはいっても、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

 まず自分で書く「自筆証書遺言」。一番、手軽な方法で、遺言者が、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、これに押印することによって作成される遺言です。

 そして「公正証書遺言」。名前の通り、遺言者が公証人立会いのもとに、公証人に遺言内容を口述し、その口述した内容をもとに公証人が作成する遺言です。これは証人もきちんといて、公証役場で原本が保管されるので、一番安全確実な方法と言えます。

 最後に「秘密証書遺言」。秘密、とは言いますが、それは書いた本人だけが内容を知っている、ということで、公証人および証人2人以上に対し、自分の作成した遺言書を、自分の意思によるものであることを申し出て、関係者が署名押印する遺言です。

 3種類の遺言には、それぞれ特徴があります。せっかく遺言を作成するのですから、法的に有効な遺言をきちんと遺して、事情に応じて、自分に合った遺言を作成し、相続時の争いを未然に防ぎ、大切な人たちに自分の意思を伝える準備をしておきましょう。

 それでは次に自分で作成する「自筆証書遺言」について、忘れてはいけないポイントをご紹介しましょう。