不動産を買うときの理想は、「安く購入し、その後、値上がりする」こと。
値上がり幅が大きければ“大化け”となるため、現在割安な場所を探すのが基本だ。住宅地評価一覧表を活用すれば、そんな狙い目エリアを探すことが可能になる。新方式のデータ分析メソッドで、狙い目駅を抽出してみた。

※なお、首都圏と中京・関西圏ではデータの算出方法が異なる。とくに中京・関西圏では、たとえば駅から遠い場所に格安物件が出た場合や、駅近で高額の土地取引があった場合などに、数値に大きな変動が出る。同様に、例は少ないかもしれないが、首都圏でも今後は割安なリノベーション物件の出現による変動が起こりうることに留意いただきたい。

取材・文/住宅評論家 櫻井幸雄
データ提供・首都圏/アトラクターズ・ラボ 中京圏・関西圏/東京カンテイ

4局面理論でわかる狙い目エリア

櫻井氏の考える不動産の4局面理論。
拡大画像表示

 不動産、その中でも新築分譲マンションの価格は、堅調な賃貸相場を中心に上昇と下降を繰り返すというのが、私の「4局面理論」だ。分譲マンションには価格相場が高い時期と安い時期があるのだ。首都圏では、直近の2011年から今が安い時期に当たり、06年、07年あたりが高かった。さらに、それ以前を振り返ってみると、03年から04年にかけてが前回の安い時期だった。

 では、この三つの時期で、首都圏主要駅の平均相場はどのように変化しているのか。理論と実勢のすり合わせをしてみよう。

 たとえば、03年にマンションが2000万円で、06年に2500万円だった場所があるとする。その場所が、直近の価格が2300万円ならば、もう少し下がる可能性があると判定できる。逆に1900万円になっていたら、これ以上の値下がりは期待できない。むしろ、反転する可能性のほうが高い。だから、早めに買ったほうがよいとなる。

 つまり、A(03、04年)、B(06、07年)、C(直近)の三つの時期の価格差で、いろいろなことが見えてくる。

 たとえば、

(1)A時期とC時期の価格差が小さければ、順当に価格が下がっており、買い時の場所
(2)B時期よりもC時期のほうが大きく価格が下がっていれば、それも買い時の場所
(3)A時期よりもB時期のほうが高く、C時期はさらに高いとなると、不動産の全体的な動きを無視して右肩上がりで価格が上昇している場所

 ということになる。

 理論を無視した動きをする場所は、特殊事情がある場所。そのような場所は、景気の動きに関係なく、安定した資産性を保つ場所と見ることもできる。つまり、理論値をもとに実勢データの分析をすれば、いろいろなことがわかるわけだ。

「ひと目でわかる駅力」で街を再確認

 次に、予算どおりの狙い目駅を選んだあとに気になるのが、自分の生活スタイルに合った駅かどうかだ。子育てを最優先に考える人は、保育園や幼稚園、小児科などが充実している街を選ぶだろう。

 また、警察や病院など安全・安心を第一に考える人もいるし、生活のゆとりを求め、美術館、図書館、公園、緑地の充実を求める人もいるだろう。

 その目安を「ひと目でわかる駅力」で示した。今回、Web限定で、全駅力の数字を公開した。本記事の最終ページにPDFにて公開しているの参考にしてほしい。

 なお週刊ダイヤモンド別冊『「王道」の住宅選び』では、「ひと目でわかる駅力」の上位をアイコン化し、さらに見やすくしている。5分野10項目の施設数を数え集計したのちに、上位20%を「たいへん優良」、20~40%を「優良」として視覚化したものだ。

 さらに別冊には、先述した「安値期」と「高騰期」、「現在」の住宅の価格比較表も全駅掲載している。興味がある人は参考にしてほしい。