第4の原則 公的組織との連携

 新しいビジネスチャンスを獲得するために国境や部門を超える必要がある場合、企業の枠には収まらない社会問題にも関心を向けなければならない。その時、ビジネス・リーダーには、事業の利益のみならず社会の利益も考慮しうる官民パートナーシップを構築することが求められる。

 グローバル化の逆説の1つに、(グローバル化が進むと)現地(ローカル)でのつながりがいっそう必要になるというものがある。

 地理上か行政上かを問わず、さまざまな地域で成功するには、各国でサプライヤーや顧客のほか、政府関係者や公的機関との関係基盤を固めなければならない。そうしておけば、情勢や政府事情が二転三転しようと、やるべきことに一貫性を与えられる。

 これらの社外ステークホルダーは、各企業の経済力だけでなく、地域社会への貢献にも関心がある。その一方、グレート・カンパニーは、地域の一員として末永い関係を望み、事業に影響を及ぼす政治的問題に関わりたいと考える。

 社会ニーズに取り組むための官民パートナーシップは、その数が増えるとともに重要性を増しており、とりわけ制度の論理で考える企業がこれを採用している。このパートナーシップには、次のようにさまざまな形態がある。

●国連などグローバルな組織と協力して行う国際活動。たとえば、P&Gとユニセフ(国連児童基金)やNGOによる「子どもたちのための安全な飲み水プログラム」など。

●省庁や開発機関と協力して実施する国内での大型プロジェクト。たとえば、ペプシコと米州開発銀行によるメキシコの農業プロジェクトなど。

●満たされていない社会ニーズに応える製品やサービスの開発。たとえばP&Gと西アフリカの公立病院の連携など。

●短期的なボランティア活動。たとえばIBMは、インド洋の大津波、ハリケーン・カトリーナ、中国の四川大地震、東日本大震災の後、救援物資を追跡し、家族の安否を確認するソフトウエアを提供した。