TOTOの「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」は、従来のタンク型とタンクレス型のデメリットを解消した究極のトイレ。コンパクトかつ高度な節水技術がウケている。 |
水道直圧水で便器を洗う「トルネード洗浄」と、内蔵タンクから加圧されて流れる水で便器内から押し出す「ゼット洗浄」を行なう。 |
日常生活において、「トイレ」について真剣に考える人は少ないのではないだろうか。実際はなくてはならない重要な設備なのだが、あまりにも身近なため、そのありがたみにさえ気ずかない場合がほとんどだ。
しかし、「所詮、トイレなんて用を足すだけの場所」と断じるなかれ。実は、トイレは人知れず「日進月歩」の進化を続けており、最近では環境問題にも深く関わり始めているのだ。
よほどのことがない限り、トイレは長年使い続けても壊れることがない。そのため、古い住宅に住む高齢世帯のなかには、「30~40年間も同じトイレを使っている」というケースも、少なくないようだ。
しかし、そんな古いトイレと最新のトイレを比べると、実は驚くべき「違い」がある。それは、トイレ一回当りに使用する「洗浄水の量」だ。
たとえば、トイレの代表的なメーカーであるTOTOの30年~10年前の製品と最新製品とを、「4人家族世帯」「1日1人当り一回の大洗浄」など、いくつかの同じ条件の下で比べてみよう。
古いトイレの場合、これまでは大洗浄1回につき約13リットルもの洗浄水が必要だった。これは1年間に換算すると、約7万5920リットルもの水を使用していることになる。ところが、最新製品は、1回につき約5.5リットル、年換算で約2万6645リットルと、じつに約65%も「節水」が進んでいるのだ。
その驚くべき節水技術を搭載した最新トイレとは、同社が2007年に開発した「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」。今や「業界最高水準の節水技術」(TOTO)を自負している。これだけの節水を可能にした背景には、たゆまぬ「技術革新」への努力があったという。
一般に、トイレは「タンク式」(トイレの外側にタンクが付いている昔ながらのタイプ)と「タンクレス式」(タンクがないタイプ)とに分けられるが、これらにはそれぞれメリットとデメリットがある。
トイレで最も重視されることと言えば、言うまでもなく「用を足した後によく洗浄できるか」だが、これがスムーズに流れさえすればOKというものでもないようだ。
たとえばタンク式は、タンクに貯めた水を利用して排泄物を流す仕組みなので、どんな環境下でも流れは比較的安定している。だが、タンクが場所を取るため、狭い一戸建てやマンションではトイレスペースが狭くなってしまい、掃除も大変という難点があった。
90年代前半にはタンクレスの「ネオレストシリーズ」が登場したが、やはり課題は残った。タンクレスはコンパクトなのでトイレ空間を広々と使えるし、使う水も少なくて済む仕組みになっている。しかし、水道直圧水を利用して流すという構造上、水圧の低いマンションの高層階などには不向きで、設置できる場所が限られてしまうケースも少なくなかった。