政治の世界では今なお
喫煙擁護派議員がパワーを持つ

「ただ妥協しただけでは」と感じる方もいるかもしれないが、実は山東会長と同じように苦渋の決断をした人々がいる。誰よりも受動喫煙の害を訴え、「飲食店原則禁煙」を強く望んできた日本医師会だ。

 禁煙啓発などに力を入れている羽鳥裕常任理事は、「客席面積100平方メートルは広すぎる」と不満を口にしながらも、「日本医師会としては容認」だと述べた。

「たいへん悩みましたが、ここで粘って廃案というか、すべて流れてしまうより、受動喫煙防止対策が少しでも早く動き出した方がいい、という判断です。結果として、中国など五輪開催地の規制も守られていますし、日本でも国民の期待は明らかにそちらへ流れている。ここを入り口にして、さらなる対策がとられることを期待したい」

 お二人のような禁煙の必要性を長く訴えてきた人たちが、揃いも揃って今回の「骨抜き規制」を「前進」だと評価せざるを得ないのも、いたしかない状況なのだ。

 昨年、「飲食店全面禁煙」を掲げた厚労省案が、自民党たばこ議連の猛反対で紛糾したことからもわかるように、自民党の中には決して屈服することのない「喫煙擁護派」がいる。彼らの背後には、JTや葉たばこ農家など、たばこ産業の面々だけではなく、それぞれの選挙区に戻れば支持者の中には、飲食店オーナーも大勢いる。

 世の中的には80%以上が非喫煙者なのだが、法律を整備する政治の世界においては真逆で、まだまだ喫煙者や喫煙擁護派の方たちが圧倒的に主導権を握っており、山東氏や羽鳥理事の方がマイノリティという現実があるのだ。