ともあれ兄弟・姉妹のアスリートは成績において何かと比較されてしまうのがつらいところだ。平昌五輪でもそうした例はあった。ノルディック複合では渡部兄弟。兄の暁斗(29)がノーマルヒルで銀メダルを獲ったのに対し、弟の善斗(26)は12位に終わった。女子ショートトラックにはスピードスケート・菊池彩花の妹、悠希(27)と純礼(22)が出場。ともに3000mリレーのメンバーとして6位入賞を果たしたが、チームパシュートで金メダルを獲った姉の彩花と比べると影が薄くなってしまう。

 冬季五輪で兄弟の明暗が分かれたといえばノルディック複合の荻原健司・次晴兄弟がいる。双子の兄である健司は五輪の団体でふたつの金メダルを獲得しているほか、個人でも世界選手権で2回優勝、W杯でも92年から96年にかけて個人総合4連覇という偉業を成し遂げた。一方、次晴は兄とともに出場した95年世界選手権団体での金が唯一のメダル獲得だ。双子なのに、どうしてこれほど差がつくのかと世間からは見られていたわけで、弟はその評価に苦しんだだろう。ただ、今では吹っ切れたようで、「しくじり先生」などの番組でそのエピソードを笑いにしているし、話術を磨いて競技の解説で活躍している。

揃ってトップアスリートに
なれた時点で十分凄いこと

 他の競技を見渡しても兄弟姉妹が揃って活躍する例はあまりない。有名どころをあげてみるとプロ野球では定岡智秋・正二・徹久の3兄弟、松沼博久・雅之、新井貴浩・良太、Jリーグでは三浦泰年・知良、森崎和幸・浩司、佐藤勇人・寿人、高木俊幸・善朗・大輔3兄弟、松田陸・力、清武弘嗣・功暉、プロゴルフでは尾崎将司・健夫・直道3兄弟、宮里聖志・優作・藍の兄妹、大相撲では若乃花・貴乃花、プロボクシングでは亀田興毅・大毅・和毅3兄弟、競馬では武豊・幸四郎、吉田豊・隼人、マラソンでは宗茂・猛、レスリングでは伊調千春・馨などがいるが、どちらかひとりの活躍が目立つケースがほとんどだ。

 もちろん兄弟揃ってトップアスリートになり、日本代表として五輪に出場したりプロになること自体が凄いことであって、優秀な兄弟姉妹に比べて存在感や活躍度が地味であっても実力があることは間違いない。ただ、スポーツは結果が明確に表れる分、世間は比較して見がちであり、そこが兄弟姉妹アスリートのつらさだろう。

 しかし、スピードスケートの高木姉妹はそうした葛藤を乗り越え、今回の五輪でともに栄冠をつかんだ。その姿は兄弟姉妹アスリートにとって共感できる部分があり、気持ちの保ち方において良い指針になったのではないだろうか。

 マラソンの日本記録を更新した設楽悠太の夢は、兄の啓太とともに東京五輪に出場することだという。兄の実力を認め、刺激し合える存在としてともに切磋琢磨していこうと思っているわけだ。

 東京五輪で設楽兄弟が高木姉妹のように喜びを分かち合う姿が見たいものだ。

(スポーツライター 相沢光一)