一方的な「勉強しろ」は、「クソゲーを最後までやれ」と言っているのと同じ

どの会社も採用しないような人を雇って、その人をめっちゃ育て上げる方法があるんです。<br />【佐々木圭一×坪田信貴】(前編)<br />佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト:www.ugokasu.co.jp
Twitter:@keiichisasaki

佐々木 僕自身もずっとダメダメな人間だったのですが、そんなダメダメな人がバクノビするための言葉がたくさん載っていて、読んでいてワクワクさせられました。いくつもいい言葉があるんですが……たとえば63ページの「子どものやる気を育む」のところ。抜粋しますが、「勉強しろという大人は、自分で勉強していますか。もし自分はやっていないけれどお前は勉強しろと言うならば、それは、このゲームはクソゲーだけど、お前は最後までやれと言っているのと大して変わりません」に感心させられました。実際そうなんですよ。「パパはやっていないけれど、お前はやれ」というのは僕自身の中にもあるんです。だから、考えを改めて、今朝うちの2歳の娘に「パパもこれ片づけるから一緒に持って行って」と言ってみたら、やってくれるわけです。それまでいくら言ってもやってくれなかったのに。

坪田 さすがですね。

佐々木 パパは片付けが嫌いだけどお前はやれと言われても、そりゃやらないだろうと。勉強についても同じなんだと改めて思いました。

坪田 ありがとうございます。

佐々木 あ、これもよかったな。102ページの、「やる気になるために」のところ。「五教科の学習は、とにかく超おいしいです。まず正解が明確にあって、しかも解き方のパターンまではっきりしています。それを覚えて良い大学に行ったら、日本では一生評価されがちです」って。「がちです」という表現が、坪田さんらしくてさすがだと思いましたが(笑)。

坪田 (笑)

佐々木 そして、「数年の努力とその実績だけで一生評価されやすいのって、これぐらいじゃないでしょうか」と。確かに、投資効果で言えばめちゃくちゃ高い。僕、この言葉を学生時代に教えてもらったら、もっと頑張ったのにって思いますね。僕は上智大学を出たのですが、履歴書には必ず書かなければならないし、本を出しても必ず書かれるし、講演会でも「上智大学を卒業後~」と紹介される。卒業してもう22年ぐらいたっているのに毎回毎回言われ続けるんですよね。

坪田 そうそう。面白いですよね。

佐々木 このページを見ただけで、本当に頑張ろうと思う学生は多いと思います。今紹介したのはわずか数行だけれど、これがダイヤモンドオンラインの記事として世のなかに広がることで、どれだけ世の中がハッピーになるんだろうって思います。

坪田 ありがとうございます。