スキーシーズンより
夏場に繁盛する長野県飯山市

 古民家集落再生の一番分かりやすい成功例は、2009年にオープンした兵庫県の「集落丸山」だろう。山あいの小集落にある築150年の古民家群をそのままリゾートとして再生したもので、本格的なフランス料理を提供するなど、高級感を前面に打ち出したことが差別化要因となっている。

 だが、農泊を農業体験なども含めたグリーンツーリズム全般と捉えると、その歴史は意外に長い。先駆的な例として注目に値するのが、大分県宇佐市安心院町と、長野県飯山市の取り組みだ。

 大分県の「安心院町グリーンツーリズム研究会」は1996年に発足し、会員制の農家民泊というかたちをとることで、大家族の一員になったような気分を味わえることが特徴だ。

 一方、長野県飯山市は県の最北部に位置し、昭和30年代前半のスキー場開発とともに、農家が冬季の副業として民宿を始めたのが出発点だった。しかしバブルの余韻の残る1993年をピークにスキー客が減少に向かったことで、グリーンツーリズムにかじを切った。

 94年に「飯山市グリーンツーリズム推進協議会」を発足させ、「なべくら・高原森の家」などの施設を整備。修学旅行では体験できない、自然の中で滞在するプログラムで学習旅行の需要を取り込んだことを起爆剤に、いまでは4~11月のグリーンシーズンの観光客の方が、冬季よりも多いくらいになっている。

 雪深いこの地ではかつては冬場の働き口がなく、出稼ぎをするしかなかった。スキー場ができてようやく家族で冬を過ごせるようになったわけで、スキーブームが過ぎ去っても出稼ぎの昔に逆戻りしてなるものかと奮起した結果がグリーンツーリズムへの転換なのである。

 信州いいやま観光局では、農作物の収穫や森林セラピー体験、雪を生かした体験など、常時30~50ほどの着地型旅行商品を取り揃えて自然体験を売りにしている。

 そして近年では外国人観光客も目立って増えており、雪のかまくらでの飲食を楽しめる「レストランかまくら」の統計によれば、2015年までは微々たる数だった外国人利用客が16年と17年には全体の2割以上になり、18年には約1000人と、3割にあと一歩で届くまでになっている。