
希望の営業職に就き、上司にも恵まれ、「いい会社に入れた。頑張るぞ」とやる気に満ち満ちていた新入社員。しかし試用期間中に、全治3カ月以上の大ケガをしてしまった。復帰しても、営業職に戻るのは難しい……試用期間中であれば、会社はケガをした新入社員を辞めさせることができるのだろうか?(社会保険労務士 木村政美)
<甲社概要>
食品を扱う専門商社で従業員数は500名。都内にある本社の他、関東地方に5カ所の営業所がある。
<登場人物>
A:22歳の新卒社員。1カ月間の新入社員研修終了後、横浜営業所営業課に配属。6月末日までは試用期間中。
B:横浜営業所営業課長(40歳)。Aの上司で指導担当者。
C:人事・総務部長。本社に在籍し人事労務関係の最高責任者。
D:甲社の顧問社労士。
食品を扱う専門商社で従業員数は500名。都内にある本社の他、関東地方に5カ所の営業所がある。
<登場人物>
A:22歳の新卒社員。1カ月間の新入社員研修終了後、横浜営業所営業課に配属。6月末日までは試用期間中。
B:横浜営業所営業課長(40歳)。Aの上司で指導担当者。
C:人事・総務部長。本社に在籍し人事労務関係の最高責任者。
D:甲社の顧問社労士。
営業職志望の新入社員、課長に同行して仕事を覚える
Aは横浜営業所に配属後、OJPとして最初の3週間は内勤業務を担当。その後はB課長に同行し、社用車で取引先を回るようになった。
営業の主な仕事は、毎日決まった取引先を訪問し、注文を受けた商品を届けることだが、その場で継続注文を受ける、新商品を紹介し新規注文につなげるなど、顧客とコミュニケーションを取りながら売上を伸ばすことも重要な任務である。
本来、Aの指導係は営業主任が担当するはずだったが4月末で退職したため、急遽B課長が一時的に主任の担当取引先のフォローとAの指導係を引き継ぐことになった。明るく積極的な性格のAはもともと営業職を希望していたし、B課長は気さくな性格で、仕事も丁寧に教えてくれる。
そしてB課長はすべての訪問が終わると毎日必ずコンビニに寄り、Aの好きなスイーツとペットボトルのコーヒーを奢ってくれた。Aはコンビニの駐車場でB課長と一緒にスイーツを食べながら、「B課長も取引先のお客様もみんな親切でいい人たちばかりだし、外回りの仕事は自分の性に合っている。ずっとここで頑張っていこう」と決意を新たにするのだった。しかし……。