財務省の福田前事務次官によるセクハラ騒動は、録音が公表されて言い逃れできない状況となった。また、日大アメフト事件は、悪質タックル映像が公開され問題化した。一挙手一投足が白日のもとにさらされる時代、SNSをどう扱えばよいのだろうか(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
SNS利用は止められない!
不適切事例がさらされる時代に
録音機器は小型化したし、スマホで誰でもその場で動画や音声を収録できるようになったため、これらのデータがSNSで容易に拡散される時代となった。
政治やスポーツの世界に限らず、ビジネスにおいても、不適切な出来事はかなりの程度公開され、ウソはすぐに見破られ、ごまかしや言い逃れができない環境にいると考えた方がよい。スマホの進化やSNSの普及は、ビジネスの透明度を格段に高めた。
にもかかわらず、情報は隠し通せる、言い逃れできると思い込んでいる人が少なくない。そして、いまだに社員のSNS利用を統制できると思っている経営幹部が実に多い。広報など特定の担当部門が承認プロセスを経て投稿する以外は、「企業活動のSNSへの投稿を禁止する」「ブランドに影響を与える投稿は厳禁」「許可なく投稿した場合は懲戒処分の対象とする」という統制をしている企業が多いのだ。
しかし、こうした統制は行き届かないと考えた方がよい。SNSがこれだけ日常化している以上、使うなということの方に無理がある。
SNSを統制しようとすればするほど、情報をコントロールしているのではないか、共有できない情報を秘匿しているのではないか、ひいては、後ろめたいことをしているのではないかと勘繰られてしまうことになりかねない。