これまでのフェイスブックのコミュニティは「疎結合」だった

 ザッカーバークは、新しいミッション・ステートメントを発表した場で、オンラインだけでなく実生活にもポジティブな影響を及ぼすコミュニティの形成、そして参加を支援したいと語った。

 そして、その理由は、現在、多くの人々が、「どうすれば自分は、世界に良いインパクトを与えられるだろうか」と考えていることに気づいたからだという。

 その上で、社会におけるオフライン/オンラインのコミュニティの重要性を説き、フェイスブックのユーザーの約半数に当たる10億人が何らかの“有意義な”グループに帰属することを目指すと語った。

 これは、MAU20億人超という世界最大のソーシャルメディアである「フェイスブックならではの提供価値」と、「世界中の人々が求めている価値」が重なる、フェイスブックだからこそのバリュー・プロポジション=存在価値であるという意味で秀逸なだけではなく、企業の戦略としても極めて大きな意味を持っている。

 フェイスブックは、世界で最も「構造的空隙」を押さえたネットワークを有しているが、そのつながりは決して強固なものではなく、いつ崩れてもおかしくないような「疎結合」の状態と言える。

 かつて、日本においてはミクシィが圧倒的なユーザーを抱えていたにもかかわらず過疎化が進んだことを思い出せば、そのネットワークの不安定さは理解できるだろう。

 ソーシャルメディアは人と人との空間的・時間的・心理的距離を縮めた。そして、それを生業とするプラットフォーム企業は、さらにプロアクティブにコミュニティ形成をしかけ、プラットフォーム上で疎結合した人々を密結合させることで、形成されたコミュニティもまた、プラットフォームと密結合されることになる。

 そうすることで、密結合された一つ一つのコミュニティのプラットフォーム(ここではフェイスブック)への依存性が高まり、プラットフォーム自体の持続可能性を高めることができるのである。