まさに“習近平一色”に染められた
「中国アフリカ協力フォーラム」の光景
「習近平主席は西側の指導者よりも、新興国や途上国の指導者と会談をしているときのほうがリラックスしていて、生き生きしているように見える」
昨年9月、中国福建省アモイ市で第9回BRICS首脳会議が開催され、習近平国家主席(以下肩書略)自らが赴き司会を務めた際、中央外事工作領導小組(筆者注:2018年3月の全人代を経て“中央外事工作委員会”へと改名。主任習近平、副主任李克強、委員王岐山、楊潔チ〈チの字は竹かんむりに“褫”のつくり〉、王毅など13人)事務局の一員として同会議の運営に関わった若手官僚が筆者にこう語ったのを思い出した。
筆者にそう思い出させたきっかけが、9月3日から4日に北京で開催された「中国アフリカ協力フォーラム」の光景であった。
8月上旬から中旬にかけて北京の北東部、河北省の避暑地である北戴河で行われたとされる「北戴河会議」後、習近平が最初に臨んだ外交の大舞台、それも“主場外交”でのお披露目であった。米国との間で激化する貿易戦争などが原因で、今年の北戴河会議を巡ってはさまざまな憶測や推論が展開されたようである。中でも、習近平の責任問題や権力基盤に関して懐疑的に見るウオッチャーや関係者は少なくなかった。
そんな外界、そして内部からの疑問や抵触を払拭するかのように、同フォーラムが開催されていた期間中、その前後、中国世論はまさに“習近平一色”に染められたと言っても過言ではない。
フォーラムの開会式での談話、円卓会議での司会、共同記者会見への出席などだけでなく、習近平はこの多国間外交の機会を最大限に利用すべく、北京を訪れたアフリカ53ヵ国の代表者らと精力的に2ヵ国間外交を繰り広げた。