毎年、米国の大学で研さんを積んだ中国人が母国へ戻り、次々とイノベーションを起こしてる Photo:iStock/gettyimages

 この数カ月、米中貿易戦争が世界経済を揺るがす要因として注目されているが、実は水面下では、もっと大きな地殻変動が、すでに何十年も前から起きている。中国が知的生産力とその源泉である人材育成において、世界有数の成果を残しつつあるのだ。

 産業、社会が大きく変化する中、イノベーションが国の将来の活力を生むことは間違いない。そのイノベーションを起こすのは人であり、人が知識を生む。中国はこの原則を、少なくとも日本よりよく理解して、この数十年間、人材育成に取り組んできたと思われる。

 私の会社では中国人のインターンを雇っているが、彼の仕事ぶりを見ていると、特にそう思う。彼はこの春、米国東部の有名大学を卒業したばかりの俊英だ。われわれが関係する複数の最先端ベンチャーキャピタルが投資しているスタートアップ企業のデータ収集と分析が仕事だ。おびただしい量の資料を読み込み、短時間にそれぞれのスタートアップ企業の事業内容を理解しなくてはならない。

 高い英語力が必要であり、決して簡単な仕事ではない。だが彼は何時間も集中して仕事に打ち込む根性があり、貪欲な仕事ぶりには、日々感心させられる。

 話を聞いてみると、彼は杭州の田舎町の出身で、親は中小企業の経営者だそうである。米国留学の費用は、簡単に出せる額ではないだろうが、両親は全面的に息子の米国留学をサポートしている。彼は、インターンを終えた後は米国に残ってスタートアップ企業での経験を積みたいという。その先の夢は、スタートアップ企業に投資するベンチャーキャピタリストになることだそうだ。