「造精機能の障害を招く原因は不明なことも多いが、3割の患者に見られる精索静脈瘤は薬や手術によって治療が可能」と湯村准教授。
男性不妊の中で、最も深刻なのは、原因不明の無精子症だ。射出精液の中に精子が一匹でもいれば顕微授精が可能になるが、ゼロではそれもかなわず、これまで子どもを諦めざるを得なかった。
しかし、15年ほど前「TESE(精巣内精子採取術)」という、精巣内部から精子を回収する手術法が開発。自分の子どもを持てるチャンスが生まれた。
手術による精巣へのダメージが生じるため、何度も行える手術ではなく、生まれた子が男の子の場合、男性不妊が子に受け継がれる場合があるなどリスクはあるが、20年前には子どもを持てなかった男性が救われるのは間違いない。
湯村准教授は「無精子症でも諦めないでほしい」と強調する。
医療機関での治療以外に、精子の状態は、生活習慣などによっても改善するという。近年では、コエンザイムQ10、亜鉛、カルニチンなどの栄養素の摂取が良いという報告や、精子に悪影響を与えるとされる酸化ストレスとの関連を示すデータも出始めている。月並みだが、十分な栄養と休養を取ることが最も重要なようだ。
その他、精子を守るための代表的な生活習慣を次の表にまとめた。精子がつくられる精巣という器官は、とにかく熱に弱い。精子のために「股間は常にクールビズ」が合言葉といえよう。
