それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#31Photo by Masato Kato

管理業務主任者1人当たりの担当組合数の少なさで、ランキングでも評価が高い大和ライフネクスト。2024年に社長に就任した齋藤栄司氏は、今後の人手不足解消には現場業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)が欠かせないと話す。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#31では、齋藤氏にこれからの管理業の在り方について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

きめ細かな人材採用と育成、管理のDXは
両軸で進めていく必要がある

――2025年3月期決算の振り返りをお願いします。また、本特集(#26)の管理会社ランキングで1位になりました。管理業務主任者1人当たりの担当組合数が少ないことで高評価になったようです。

 25年3月期は大和ライフネクストグループ総合で売上高1384億円となりました。全体の約6割がマンション管理事業で、24年3月期の売上高585億円に対して25年3月期は619億円の着地です。大和ライフネクスト単体での管理戸数は28万5000戸で前期比4500戸の純増です。

 管理業務主任者当たりの組合数が少ないのは、それくらいが細かく丁寧に寄り添ったサービスを提供するために適切だと考えているからです。フロント担当となる社員や管理員に関しても、採用活動を丁寧にしっかり行い、それぞれ会社の目指すところに共感してくれる人材を採用することに注力しています。

 ただ、現在グループ全体で管理戸数42万戸に対し社員1万3000人で対応していますが、今後の成長や労働人口の減少などを考えると、これまでと全く同じように売り上げと人の採用を伸ばし続けるのは難しいのではないかとも考えています。技術の力でいかに1人当たりが対応できる棟数を増やして、成長路線を組み立てるかの工夫が必要です。

 大和ライフネクストでは管理の自動化・IT化やデジタル化についての研究と投資を行っています。「Remo_info(リモインフォ)」というサービスはその一つで、予算的にコンシェルジュは置けないが玄関が無人なのは寂しい、という管理組合のニーズにも応えるものです。

 マンションエントランスにカメラとタブレット型の端末を設置し、来訪者や住民に遠隔でコンシェルジュが対応し、来客応対や共用施設の予約などをそのマンションの情報や図面をパネルに表示しながら受け付けられるシステムです。サポートセンターにいる受け手側はマンションから着電があると、どのマンションから来たのかの情報を基に、あたかもそのマンションの専属のコンシェルジュのように対応することができます。

コンシェルジュが置けないマンションでも個別の対応が可能なシステム「Remo_info」コンシェルジュが置けないマンションでも個別の対応が可能なシステム「Remo_info」 Photo by M.K.
自らエレベーターを操作し、指定箇所に移動して掃除を行うロボット掃除機自らエレベーターを操作し、指定箇所に移動して掃除を行うロボット掃除機 Photo by M.K.

 清掃・警備などについても、オフィスや物流施設などで使われているロボット掃除機を投入する実験が進んでいます。参加者が集まらなくて管理員が苦労する防災訓練をVR(仮想現実)で行うことができるシステムなどもあります。入居者に対する品質やサービス、ホスピタリティを保ちながら効率化を図ることが次の課題と考えています。

24年10月に社長に就任したばかりの齋藤氏。マンション管理は社会を支えるエッセンシャルワークであると言い、業界全体の認知の底上げが必要だと訴える。また、普及しつつあるマンション管理適正評価制度や国の管理計画認定制度の認知度を上げて、マンション住民全体の管理への意識を高めていく必要性についても熱弁を振るった。次ページで続けて見ていこう。