テリーザ・メイ首相率いる英政府は、欧州連合(EU)離脱を巡って混乱に陥り、「合意なき離脱」の可能性が現実味を増している。メイ氏とEU当局がこぎ着けた合意案は、15日になって英閣僚の辞任を相次ぎ引き起こした。このため、メイ氏が合意案に議会の承認を取り付けられるかばかりでなく、保守党内でも合意案への反発が出る中で、首相にとどまれるかさえ予断を許さない状況に陥っている。英政府にはまだ複数の選択肢があり、足元の合意案に対する議会承認も不可能ではない。だが、正式離脱があと5カ月足らずに迫り、合意なき離脱となった場合に企業が直面するコストや物流面の問題が一段と強く意識され始めている。ここ数カ月はEU離脱交渉の進展具合を反映する一種の目安だった英ポンド相場は、15日の取引でドルに対して急落した。