地方局のアナウンサーから史上最年少の36歳で福岡市長に就任。
逆風のスタートから、いかにして福岡を「最強」と言われる都市に改革していったのか?
就任から8年、2018年11月の市長選では28万票以上を獲得し、
前回の市長選(2014年)に続いて史上最多得票を更新した。
しかし、そこに至るまでの道のりは、第1回の記事のとおり、決して平坦なものではなかったという。
前職では平社員のサラリーマンだった市長が、36歳で約1万人の組織のリーダーに。
はたして、人材配置やマネジメントはどのように行なったのだろうか。
博多駅前道路陥没事故の復旧や、熊本地震の際のSNS活用方法をはじめとした取り組みで注目を集める高島市長は、まさしく福岡市の【経営】者だ。そんな彼の仕事論・人生論が詰まった、初の著書『福岡市を経営する』(ダイヤモンド社、3刷決定)から、その一部を再編集して特別公開する。
<構成:竹村俊助(WORDS)、編集部、著者写真撮影:北嶋幸作>
年上の部下たちをどうマネジメントするか
自治体によって多少の違いはありますが、以下が福岡市役所の部署です。
「総務企画局」「財政局」「市民局」「こども未来局」「保健福祉局」「環境局」「経済観光文化局」「農林水産局」「住宅都市局」「道路下水道局」「港湾空港局」「消防局」「水道局」「交通局」「教育委員会」「各区役所」……。この局の下部に、各局の仕事を細分化した「部」や「課」があり、今ではおよそ1万5千人の職員を抱えるのが福岡市役所です。
私が36歳で市長に就任したとき、全職員の平均年齢は43歳でした。もちろん部長級以上の職員は全員が年上。課長級でも全員私より年上という環境でした。
もしあなたが30代なら、自分の父親くらいの年齢の人たちを部下に持つことを想像してみてください。これはなかなか覚悟のいることなのです。
就任初期は困難の連続でした。私が出席した局長との会議の直後に、出席した局長が部下に対して「あの市長の言うことは聞かなくていいから」「市長の意見は無視していいから」と言っていたこともありました。
職員として不安もあったでしょう。「あんな若い市長で大丈夫か?」「行政の素人の言うことを聞いて大失敗したらどうする?」という気持ちはわからないではありません。しかし、「言うことを聞かなくていい」とか「無視してよい」という局長の指示には、相当なショックを受けました。
たしかに私には、組織のマネジメントの経験もなく、キャスターではあったものの、放送局の社員としては平社員でした。
一般的に、昇進する、管理職になるということは、プレイヤーとしてではなくて、部下をマネジメントしながら最大の効果をあげることですから、意識と発想を大きく変えなければいけません。