事務処理に長けた人材だけでは、自治体が衰退する

 しかし、今後、このような採用方法を続ける自治体は消滅していきます。これからの自治体は、「地方創生」のスローガンの下、国からの補助金などが徐々に減らされる中で、多様化する市民のニーズに応え、自治体経営に必要な収入を稼ぎ、コストをゼロベースで削減する覚悟が求められます。このような劇的な変化に対応するためには、単に国や制度に基づく方針を無難にこなすだけの人材では全く不十分です。地域のニーズを見極め、資源を活用しながら、新しいことに取り組む、「ゼロから1を生みだす」人材が不可欠になっています。

「安定しているから公務員になりたい」というような人材を採用してはいけないのであって、地域に飛び出して市民や事業者、専門家などと意味のあるつながりを築いたり、AIやIT技術、ロボティクスなどの最先端の動きを学んで地域の課題解決につなぎこんだり、リスクを恐れずに新しい挑戦を進めたりできる人材を、なりふり構わず確保しに行かなければならないのです。

奈良県生駒市の採用倍率を関西首位に押し上げた施策

 このような認識に基づき、生駒市では私が副市長として着任した直後から採用改革を進めてきました。結果、受験者数はそれまでの4倍以上となる毎年1000人を超え、全国トップレベルの倍率となっています(全国8位、関西1位。採用者数が20人以上の自治体では全国トップ:日経グローカル(NO.307、1月2日号))。生駒市よりも人口規模などが大きな自治体や民間企業に内定が出ていた人が、生駒市を選んでくれることも増えてきました。

 生駒市の採用改革は、以下の大きく3点に整理されます。
 
 第一に、従来の公務員試験の常識を根底から破壊したこと。具体的には、公務員試験を廃止してSPI3を導入したことで公務員にも民間企業にも興味がある学生に受験の門戸を広げました。あわせて国家公務員や都道府県試験よりも後で行うのが慣習とされていた市役所の職員採用試験の日程を改め、全国で最も早い4月1日から募集開始し、優秀な人材を先手必勝で確保しに行きました。さらには、採用説明会を質・量とも充実させ、各大学での開催はもちろん、公務員予備校などでも説明会を開催し、すべての説明会に私も出席しました。