米ユタ州在住のダニー・マイナーさん(66)は、化学工場の監督者を引退し、ほぼ毎日をアパートの部屋で過ごしている。再放送中の西部劇「ガンスモーク」と、めったに鳴らない電話がマイナーさんの唯一の友だ。老後これほど孤独になるはずではなかった。マイナーさんは5回結婚し、そのたびに生涯の伴侶を得たとの期待を膨らませた。3回は離婚し、2回は妻と死別した。今では足の痛みを抱え、体がふらつくようになった。教会に通うのをやめ、元海兵隊員が集まる会合にも出なくなった。「時々、気がめいることがある」と彼は言う。ベビーブーマー世代は米国史上、どの世代よりも独りぼっちで年を重ねる割合が多い。その孤独は今や、迫りくる公衆衛生上の脅威として注目される。国勢調査や他の調査結果によると、50歳以上の米国人のうち約11人に1人は、配偶者やパートナー、生存する子供が1人もいないという。つまり老後の主な話し相手になる近親者がそばにいない人が、米国で約800万人に上ることになる。人口に占める比率は今後高まることが予想される。