「短い話」への挑戦

 話が長い。くどい。うざい。いいかげんにしろ。よく指摘される僕の欠点だ。拙著『ストーリーとしての競争戦略』の読者からも「もっと短く書けるだろ!」と不満轟々。ところが、「言いたいことは全部書く」「重要だと思うことはいやというほど念入りに」というのが僕の芸風。この芸風で20年やってきたので、いまさら直らない。直すつもりもない。だから、書評を頼まれても、自分がスキな本だったりすると、調子に乗って書く。で、すぐに一万字を超えてしまう。

 先ごろまで「ようするにこういうこと」というタイトルで連載の場をいただいていた。経営についての雑感を自由に書いていいというありがたい話。ところが、やってみると、やはり話が長くなる。ウェブの記事としては長すぎる。ページが何枚にもわたってしまう。

 しばらく前からツイッターをやっている(アカウントは@kenkusunoki)。自分のために読書(ときどきは映画や音楽)の記録をつけておくというのが僕の使い方だ。本は大量に読む。全部おいておけないので、読んでしまうと8割がたは即売却する。だから、以前から読んだ本の記録はつけていた。これをあるときツイッターに移行した。時系列で一覧できる。ときどき人から反応がある。「これがスキなら、こっちも読むとイイですよ」。実に便利で気に入っている。

 ツイッターの読書記録では、著者と題名に加えて、読後すぐの感想をつけておく。いうまでもなくツイッターでは長い話はできない。書評だと一万字書きたくなるような本でも、140字まで。自然と話が短くなる。

 で、思いついた。同じ連載にしても、ツイートするような気分で書けば短い話になるではないか。140字ではさすがに短すぎる。ま、その10倍の1400字ぐらいということで、「10倍ツイート」。「ようするにこういうこと」を手じまいにして、新装開店ということになった。ただし、これからは「週刊」となる。その週に見たり聞いたり出会った日常の事々から触発された、短い話をしていきたい。