「EU解体」論者が見過ごす欧州の外交ポテンシャル、EU外相に聞く

英国の欧州連合(EU)離脱やロシアによる選挙干渉、中東・アフリカからの難民・移民問題など外交上の難題が山積する欧州――。トランプ米政権が自国優先の保護主義を強める中、ルールに基づく国際秩序を守る防波堤でいられるのか。2014年11月以来、EUの外交・安全保障政策を監督するフェデリカ・モゲリーニ上級代表(EU外相)に聞いた。(聞き手/マーク・レナード欧州外交評議会理事)

──英国のEU離脱(ブレグジット)やクリミア併合後のロシアに対する制裁継続など重要な問題について、EUはこれまでのところ「団結(Unity)」を見せています。欧州議会選挙(5月)、欧州委員会と欧州理事会のトップ交代(秋)が近づいていますが、今年もこの団結は維持されるのでしょうか。

モゲリーニ われわれEUの団結は、往々にして認識されているよりもはるかに強力です。私は日々の業務の中で、EUが共同で意思決定し、それらの決定を実行に移し、そして特に外交・安全保障分野において、一体となって行動する様子を目にしています。

 団結が不足しているという不満を口にする人は大勢います。しかし、そうした不満は過去の経験をもとに繰り返される安易な「決まり文句(Cliche)」から生まれたもので、今日の状況を現実的に反映したものではないというのが私の印象です。

 もちろん、「団結(Unity)」が何を意味するのかを定義する必要はあります。団結は、「画一性(Uniformity)」という意味ではありません。