実際、厚生労働省の調査によれば、2017年の全国のホームレスの数は5168人で、4年前と比べ約2500人も減った。その一方で、小泉さんのようにネットカフェなどに寝泊まりしており、一目で貧困者だとは気付きにくい“見えない貧困層”が、若者を中心に広がっている。
今年1月、東京都が初めて実施したネットカフェ難民の実態調査の結果は、衝撃的なものだった。
都内のネットカフェ宿泊客の25.8%に当たる約4000人には住む家がなく、ネットカフェ“住民”になっていたのである。
そして、その4分の3に当たる約3000人が、非正規雇用の派遣社員やパート・アルバイトなどの不安定な働き方をしていると推定される。年齢別では30代が最も多く、約4割を占めていた。
900万人を超すアンダークラスに、若者がいったん属してしまうと将来にわたって低収入が続き、階級のランクアップも望みづらい。代替が利く仕事を任されやすく、経験を積めないからだ。
時給ベースの賃金で、正社員は50代前半まで昇給が続くが、非正規雇用ではほとんど上がらない。60~64歳で若干上昇しているが、これは定年後に再雇用された元正社員の影響が大きい(下図参照)。