この半年に世界経済の見通しが悪化したとの見方には、ほとんど誰も異議を唱えないだろう。だがドルはそのことを知らされていないようだ。中国の減速が世界に波及していることを示す新たな証拠は日々もたらされている。11日に発表された公式統計によると英経済は12月に縮小したが、欧州連合(EU)離脱問題は一因にすぎないようだ。ユーロ圏当局者は先週、ドイツとイタリアのひどい経済指標を受けて2019年の成長予測を下方修正した。それでも、ドルの対ユーロ相場は過去6カ月おおむね横ばいに推移してきた。一方で新興国通貨に対しては下落している。安全資産とされるドルが、今年に入ってからのリスク許容度の回復から恩恵を受けていなくても意外ではない。奇妙なのは、昨年終盤に市場がパニックに陥っていた時にほとんど上昇しなかったことだ。多くの投資家は連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペース鈍化を示唆したことを指摘する。それを受けてマネーがドルから高利回り通貨に流入したのだ。
ドルを安く見せる投機筋
投資家はキャリートレード巻き戻しに備えよ
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