中国の公園で遊ぶ子どもたちPhoto:Reuters

 中国の「一人っ子政策」は終わったが、見込まれていたベビーブームは起きていない。中国経済への逆風がまた一つ増えたことになり、その長期成長の可能性を巡る懸念も高まっている。

 労働人口の減少や人口の急激な高齢化の要因となってきた一人っ子政策は、中国にとって人口の時限爆弾になっているというエコノミストの警告を受け、中国政府指導部は数十年続いた同政策を2016年に廃止した。

 新たなデータからはその廃止で見込まれていた効果が得られなかったことが分かる。中国国家統計局によると、同国の新生児の数は2018年に1523万人に減少した。これは2017年よりも200万人少なく、2100万人以上という公式予測の中央値を30%下回っている。

 その数は、中国が大飢饉に苦しんだ1961年以来の低水準でもあった。

 新生児もゆくゆくは長期的な経済成長に欠かせない労働者に成長する。

 英キャピタル・エコノミクスのアナリストは最近のリサーチノートに「人口動態の見通しは当局の予測よりも速く悪化しているように見える」と書いている。

 こうした状況のせいで、経済成長を刺激するための大幅減税は実施が困難になっている。実施すれば、資金不足の年金制度を支えられなくなる可能性があるからだ。健康や引退後の生活費を心配する人が増えていることもあり、消費者の支出拡大を促すのも難しくなっている。

 そうした人口動態の見通しを受け、中国は裕福になる前に高齢化し、労働者が少なすぎて高齢者を支えられなくなるとの懸念が強まっている。そうなれば、今年の貿易摩擦を巡る混乱よりもはるかに長期化する経済困難が引き起されかねない。

 保守系の研究機関アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートのニコラス・エバースタッド氏は1月公表のリポートでに、中国の高齢化と縮小しつつある労働人口は「中国の偉大な経済成長時代の終わりを予感させる重大な経済的逆風になるだけだ」と記している。

 中国の人口の高齢化は他の国よりも早期に、急速に起きている。1970年、中国人の平均年齢は米国人より10歳若かったが、2015年には中国人の平均年齢が米国を上回った。政府の公式な見積もりによると、現在は1人の引退者を2.8人の労働者が支えているが、2050年には1.3人になるという。米政府の公式データによると、現在は中国とほぼ同水準で、2035年には1人の引退者を2.2人で支えることになる見通し。

 また、中国の平均引退年齢(女性が55歳、男性が60歳)は世界的に見てもかなり低い。経験豊富な多くの人々がまだ生産性があるうちに引退している。年金を受給しながら老後を楽しむことを選好し、それを実現するのが政府や社会の義務だと考えているからだ。だがこれは人材面でもったいないことであり、若い労働者が支えなければならない引退者がさらに増えることを意味する。

(The Wall Street Journal)