春節(旧正月)は中国では祝祭ムードが1年で最も高まる時期だ。しかし、今年は目に見えて静かだった。2018年後半、1人当たり消費支出の実質成長伸びは鈍化した。特に都会の裕福な人々の消費の鈍化が目立ち、中国の未来を支えるはずの消費主導型経済への移行が危うくなりつつある。40年前に経済改革を開始した鄧小平氏の下では、金持ちになることは栄誉だった。格差拡大は、数十年にわたって2ケタに近い成長率を維持する上で、払うべき価値のある代価だった。しかし次第に、貧富の格差は共産党に対する怒りと失望を引き起こすようになった。党のイメージを改善させ、貧困層の苦境を緩和するため、習近平国家主席は社会経済的により平等な中国を目指している。しかし、富の過剰な蓄積を抑制し、トップダウン型の経済統制を強化しようとする習氏の試みは、都市部の消費者に痛みをもたらしている。都市部消費者の支出は、全家計支出の80%近くを占めている。同時に、貿易とテクノロジーをめぐる米国との対立が成長を鈍化させ、習氏の政策への悪影響を強めている。