価格形成機能も
食の分配機能もマヒしている

「市場を壊すようなサービスを始めます」──。

 ラクーザをオープンするに当たって、事前に、西辻社長は市場の“重鎮”のところへ足を運んでいる。直販やインターネット通信販売の拡大により、ただでさえ市場流通は疲弊している。ラクーザの登場は、市場流通の息の根を止めかねないほどのインパクトがあるのだ。

 実際に、市場機能の弱体化は甚だしい。まず、農家に適正な利益が残る「価格形成機能」が果たされていない。仲卸業者など多くのプレーヤーが介在しており、無駄な中間コストが加算されるからだ。

 しかも、相対取引が多く競りが少ない。有名産地というだけで質の伴わない農産物に高値が付くなど、価格硬直性が高く、市場競争が価格に反映されない。

 食の「公平な分配機能」も完全にマヒしている。九州地域から出荷された農産物が、JA経由で東京の大田市場へ送られ、それがまた九州エリアのスーパーへ「分配される」という無駄な配送もよくあることだ。

 これだけ物流危機が深刻化してもなお、こんなばかげたことが続けられている。そして、その膨大な物流コストを負担しているのは、末端農家であり消費者である。

 農家が適正な利益を得られ、消費者ニーズの多様化に応えられるような流通改革は待ったなしの情勢だ。そして今、既存の流通構造を壊し、農業を変革しようとする企業や企業連合が相次いで誕生している。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子、千本木啓文)