糖尿病は冬に悪化しがち糖尿病は冬に悪化しがち(写真はイメージです) Photo:PIXTA

春は体調を崩しやすい。特に生活習慣病は冬の間に悪化し、春はさらに悪くなる季節なのである。糖尿病もその1つで、春のリカバリーが重要となる。そこで、糖尿病を悪化させない予防策などを東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也准教授に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

突然死を防ぐには
糖尿病の治療が一番大事

 春は体調を崩しやすい、原因は環境の変化や激しい気温差のせいで自律神経が乱れがちになるから。……というのは定説だが、実をいうと不調、特に生活習慣病(成人病)は冬の間に悪化し、春はさらに悪くなる季節なのである、ということを東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也准教授らが明らかにした。

 冬に悪化が懸念される生活習慣病としては「心筋梗塞」が知られているが、実は、もっと心配な病気がある。それは「糖尿病」だ。

「糖尿病なんて、自分は関係ない」とあなたは思うかもしれない。

 しかし、厚生労働省が行った平成28年「国民健康・栄養調査」によれば、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は12.1%(男性は16.3%、女性9.3%)、「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合は12.1%(男性 12.2%、女性12.1%)にも上っている。

 あなたが糖尿病でないのは、単に、検査をしていないからわからないだけかもしれないのである。

 糖尿病は合併症として、心筋梗塞を含む、もろもろの血管病を引き起こす。目の病気である「糖尿病性網膜症」と腎臓の病気である「糖尿病性腎症」に、手足のしびれなど末梢神経が侵される「糖尿病性神経障害」を加えて、昔から糖尿病の3大合併症と呼ばれているが、それ以外にも「心筋梗塞」「脳梗塞」「高血圧」「認知症」などなど、血管に関係する病気はすべて、糖尿病で悪化することを覚えておいてほしい。