更年期はただひたすら我慢して、通りすぎるのを待つもの――。いつか誰かから刷り込まれたそんな言葉を、私たちは信じ込んでしまってはいないだろうか。「みんな、我慢してきた」「だからあなたも我慢して当たり前」、そんな言葉を投げかけてくるのは、自分の母かもしれないし、姑かもしれない。会社の上司や、夫や友人からかもしれない。
だが、本当にそうだろうか。例えば、家庭生活や社会生活に差しさわりが出る<更年期障害>と診断されるほどのつらい病状に襲われたとしても。それでもなにも手を打たず、じっと我慢して嵐が過ぎるのを待つしかないのだろうか?
女性の更年期について学んだメノポーズ(更年期)カウンセラーの立場としていうなら、その問いに対する答えは「ノー」。私がここで伝えたいのは、「更年期でつらいなら、病院に行って相談してもいい。治療法はある」ということだ(男性にも更年期症状はあるが、ここでは女性の更年期に絞って話したい)。
では、更年期の症状が現れてつらい場合、どこの病院に行けばいいか? 基本的には婦人科で、更年期外来があるクリニックならベストである。
病院に行った場合はどのような治療法を提案されるのか。考えられるのは、(1)漢方薬、(2)サプリメント、(3)ホルモン補充療法(HRT)だ。
【治療法(1)】漢方薬
3分類から自分に合うものを
体の中の巡りを良くして気持ちを穏やかにし、栄養状態や代謝を改善してくれるのが漢方薬。即効性はないが、ゆるやかに効き、QOL(生活の質)を上げる力強い味方。ドラッグストアや専門店などのほか、内科や婦人科で処方してくれることもある。
漢方薬でもっとも大切なのは<証>。これは、症状と体質が合わさった概念で「虚証」「実証」「中間証」の3つに分類される。簡単にそれぞれの<証>の特徴を説明すると、以下になる。
「虚証」:体が本来持っている機能である<気>や、栄養分の<血>が不足した状態。胃腸の弱い痩せ形の人に多い。
「実証」:なにかが過剰になっている状態。暑がりで体格の良い人が多い。
「中間証」:虚証、実証の入り混じった症状が出る人。